家族のケアを担う
子どもたち
ヤングケアラー
「ケアを要する家族がいるため、家族のケア(家事、介護、子どもの世話、通訳、感情的サポート等)を行ってる子どもたち」のことを言います。ケアが必要な家族とは、幼い、高齢である、病気や障がい等がある、日本語を第一言語としていない等様々です。また、子どもがしているケアの内容も、いわゆる身体的な介護だけではなく、家事やきょうだいの面倒なども入り、お世話全般のことを指しています。
ヤングケアラーは「18歳未満」とされることがありますが、「18歳以上」(20代、30代)の若者でケアを担うこともあります。近年、彼らは「若者ケアラー」と呼ばれています。 若者であれば、ケアを担っていても平気というわけではありません。特に、進学、就職、結婚等、大事な時期にケアが重なることは、人生に大きな影響を及ぼします。
高齢の家族の話し相手
日常生活の介護、手伝い
外出の手伝いをしている
精神的に不安定な親を支えている、グチを聞いている
病院に付き添っている
家事をしている
年下のきょうだいの面倒をみている
障がいや病気を有するきょうだいの見守り・お世話をする
家族の通訳をする
大切なのは、
まず知ることから ヤングケアラー・
若者ケアラーの現状
国は2020年度に中学生、高校生を対象に、2021年度は小学生と大学生を対象に全国調査を実施しています。
その結果、すべての年代にヤングケアラー、若者ケアラーがいて、おおむね17人~20人に1人がヤングケアラー・若者ケアラーの可能性があることがわかってきました。
これはクラスに1人~2人はヤングケアラー・若者ケアラーがいるということになります。
小学6年生
6.5%
中学2年生
5.7%
高校2年生
4.1%
大学3年生
6.2%
ヤングケアラー・若者ケアラーが
抱える問題
子どもや若者がしている家族の”ケア”は
「昔からよくあること」と思うかも知れません。
しかし、日々、ケアを担うことによる影響は様々なところに現れてきます。
遅刻してしまう
家で勉強できない
遅刻・欠席、忘れ物、授業中の居眠り、成績不振等、学校生活に影響が出ます。先生に注意されても、自分の状況をうまく説明できないため、「ダメな生徒」と誤解されることも少なくありません。
心身の健康を
損なう
情緒不安定、摂食障がい、原因不明の体調不良等、様々ですが、健康状態が思わしくないことは国の調査でも指摘されています。ケアが終わっても不調は続くことが多いです。
友人関係が
うまくいかない
友達と話が合わない、急いで家に帰るので、友達の誘いをいつも断る、そもそも学校に行かないため深い仲の友だちができない等、友人関係での悩みを抱え、孤立することが少なくありません。
ヤングケアラー・若者ケアラーの
価値と誇り Pride
ヤングケアラー・若者ケアラーたちは様々な困難や悩みを抱えることもありますが、
懸命に歩んだからこそ得られた「価値」や「誇り」もあります。
そこには家族との絆や深い愛情があったり、ケアの経験の中で、家事や育児、介護等のスキル、他の人を思いやる心、障がいや疾病に対する理解等、様々なことを身につけています。
これらはすべて、その当人だからこそ得られたヤングケアラー・若者ケアラーの価値であり、誇りです。
ヤングケアラー・若者ケアラーの困難や悩みを理解するだけでなく、
彼らが得た知識や経験に価値を見出そうとする姿勢が、社会に求められています。
まずは、わかりあえる仲間と
安心できる場が必要です
「暗闇の中をたった一人で歩いているような感覚だった」
「ケアは好きだけど、唯一つらかったのは誰にも話せなかったたこと」
「救ってほしいとは思わない。ただわかってほしい」
このような思いをよくヤングケアラー・若者ケアラーたちから聞きます。
周りに理解してもらえない経験が重なり、誰にも気持ちを話せなくなっていることがあります。
まずはヤングケアラー・若者ケアラーが安心して自分や家族のことを話せる場、同じような立場の人、わかってくれる人との出会いが必要です。